走行距離と税金
IRSに認められる走行記録(マイレージログ)には何が必要?
IRS(米国内国歳入庁)の要件を満たす走行記録とは、業務で車を使うたびに、その時点かその直後に日付、目的地、業務目的、走ったマイル数を書き留め、さらに年間の総走行マイル数を示した記録のことです。IRSが指定する書式はありません。紙の記録帳でも、表計算ソフトでも、アプリでも、これらの項目がそろっていれば認められます。2026年は各走行の日付がいつも以上に重要です。業務用のマイレージレートが7月に1マイルあたり72.5セントから76セントへ引き上げられたからです。
IRSの走行記録には何を書けばいい?
IRS Publication 463によれば、車の経費は、使用ごとの金額、時期、場所、業務目的を示す十分な記録で裏付けなければなりません。車の場合、それは業務で使うたびのマイル数、年間の総走行マイル数、業務で車を使い始めた日付のことで、これらを「帳簿、日記、記録簿、経費明細書、運行表、またはそれに類する記録」に書いておく必要があります。
Publication 463によれば、コンピューターで付けた記録も十分な書面の記録として認められます。つまり表計算ソフトやアプリも、紙の記録帳と同じく有効です。ただし、すべての業務走行に次の五つの項目がそろい、年末が総走行マイル数で締めくくられていることが条件です。
| 項目 | 書く内容 | IRSが重視する理由 |
|---|---|---|
| 日付 | 走行した日 | 時期の証明になり、2026年はどのマイレージレートが適用されるかを決める |
| 出発地と目的地 | 住所、顧客名、または作業現場 | どこへ行ったか、そしてその移動が通勤ではないことを示す |
| 業務目的 | 「仕事」ではなく「Hale様邸キッチン改修の現場確認」 | マイル数を控除の対象にするのは、この目的 |
| 走行マイル数 | 走行距離、または出発時と到着時の走行距離計の値 | 標準マイレージレートを掛ける数字 |
| 車両 | 業務に複数の車を使う場合は、どの車か | マイル数と初年度のレート選択は車両ごとに管理される |
出典:IRS Publication 463、記録保存(Recordkeeping)の章。
- 年間の総走行マイル数。 年の初めと終わりに走行距離計の値を書き留めます。その差が総走行マイル数で、IRSは業務走行マイル数と並べてこれを求めます。
- 業務使用割合。 業務走行マイル数を総走行マイル数で割った値です。総走行14,000マイルのうち業務が8,000マイルなら、業務使用割合は57.1%です。標準レートではなく実費や減価償却を控除する場合に、とくに重要になります。
IRS向け走行記録のテンプレート:記録用紙はどう作る?
IRS向けの走行記録テンプレートには、業務走行1件につき1行と、六つの列が必要です。日付、出発地と目的地、業務目的、出発時の走行距離計、到着時の走行距離計、マイル数です。無料で印刷できるPDFの走行記録でも、表計算ソフトでも、手で罫線を引いたノートでも、列がPublication 463の求める内容と合っていればかまいません。
よいテンプレートは、週ごとに業務走行マイル数の合計を出し、年末はその年の初日と最終日の走行距離計の値で締めくくります。走行距離計の列を埋めておけば、誰でもマイル数の列を検算できますし、各走行が推定値ではなく車両の実際のメーターの値に結び付きます。
| 日付 | 出発地と目的地 | 業務目的 | 出発時の走行距離計 | 到着時の走行距離計 | マイル数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2026年7月6日(月) | 事務所から14 Oak St(Hale様邸)へ | キッチン改修の現場確認 | 41,250 | 41,262 | 12 |
| 2026年7月6日(月) | 14 Oak StからNorthside Lumberへ | Hale様の工事用にキャビネット金具を受け取り | 41,262 | 41,271 | 9 |
| 2026年7月6日(月) | Northside Lumberから事務所へ | 仕入れ先から帰社 | 41,271 | 41,283 | 12 |
| 1日の合計 | 事務所、現場、仕入れ先、事務所 | Hale様の工事、現場確認1回と資材調達1回 | 41,250 | 41,283 | 33 |
IRSが認める「適時」の走行記録とは?
走行記録が「適時」とみなされるのは、走行の時点かその直後に書かれた場合です。Publication 463は「適時に付けられた記録は、一般に正確な記憶が失われた後日に作成された申告書よりも価値がある」と述べ、その週の使用状況をまとめて週単位で付けた記録も、適時に付けられた記録とみなされるとしています。
申告の直前に1年分の業務走行をまとめて作り直すのが、走行記録でいちばん多い失敗です。4月に見積もった合計は特定の走行、日付、目的に結び付いていないので、税務調査官には照らし合わせる手がかりがなく、否認されることもあります。週ごとの記録が実用上の最低ラインで、毎日付けるほうがより安全です。
- その日のうちに記録する。 一行のメモ(「火曜、銀行のあと仕入れ先、34マイル」)でも、何か月も後に書いた完璧な記録に勝ります。
- 目的は覚えているうちに書く。 距離は地図から復元できますが、走行の理由はたいてい復元できません。
- 週ごとに締める。 毎週五分の見直しで、予定がまだ記憶に新しいうちに記録漏れの走行に気づけます。しかも週ごとの記録は、IRS自身が適時の記録の例として挙げているものです。
走行記録は年の一部だけでも認められる?
場合によっては認められます。Publication 463はサンプリングを認めています。課税年度の一部について十分な記録を付け、それを年間を通じた業務使用の証明に使えますが、その期間が年間を通じた車の使い方を代表していることを、ほかの証拠で示さなければなりません。いつもと違う走り方をした一時期では認められません。
Publication 463は、決まったルートを繰り返す場合の目的欄の記入も緩めています。決まったルートで顧客を回る営業担当者なら、ルートの距離を一度記録し、あとは各走行の日付をその時点かその直後に記録して年間の総走行マイル数を加えれば、走行ごとに目的を書く必要はありません。
業務走行マイルに含まれるのはどんな移動?
業務走行マイルとは、事業や業務のために走ったマイル数です。顧客への訪問、現場から現場への移動、資材の受け取り、商談への移動などが当たります。Publication 463は、自宅と主な、または通常の勤務地との往復を私的な通勤として扱い、「自宅が通常の勤務地からどれほど離れていても、通勤費は控除できない」としています。
一回の移動に業務と私用の立ち寄りが混ざる場合は、業務の部分だけを記録します。Publication 463はさらに、私用のために勤務地から次の勤務地へ直行しなかった場合、控除できるのは直行した場合にかかったはずの額までだとしています。
- 通常は業務: 勤務地から顧客のもとへ、現場から別の現場へ、勤務地から仕入れ先へ、通常の勤務地以外で行う商談への移動。
- 通常は私用: 自宅から通常の事務所へ、業務走行の途中の私用の立ち寄り、週末の用事、本業が休みの日に自宅からパートタイムの仕事へ向かう移動。
- 1日に二つの勤務地がある場合: 一つ目の勤務地から二つ目への移動は、両方が同じ雇用主の仕事かどうかにかかわらず控除できます。
- 一時的な勤務地: 自宅以外に通常の勤務地がある場合、同じ業務の一時的な勤務地と自宅との往復は控除できます。1年以内で終わる見込みの仕事は、一般に一時的とみなされます。
- ホームオフィス: 自宅の仕事場が主たる事業所の要件を満たす場合、自宅から同じ業務の別の勤務地への移動は控除できます。その判定基準はIRS Publication 587が定めています。
2026年のIRSマイレージレートはいくら?
IRSは2026年の業務用マイレージレートを二つ設定しました。IRSの標準マイレージレートのページによれば、業務用レートは2026年1月から6月までが1マイルあたり72.5セント、2026年7月から12月までが1マイルあたり76セントです。医療目的のレートは20.5セントから23.5セントに上がり、慈善活動のレートは14セントのまま据え置かれました。
年の途中でレートが変わったため、2026年の走行記録にはすべての走行に日付が必要です。「業務走行8,000マイル」とだけ書いた記録は二つのレートに振り分けられませんが、日付のある記録なら振り分けられます。次の計算例では、上半期に5,000マイル、下半期に3,000マイル走ったものとします。
| 期間(2026年) | 業務 | 医療 | 慈善 |
|---|---|---|---|
| 1月1日〜6月30日 | 72.5 | 20.5 | 14 |
| 7月1日〜12月31日 | 76 | 23.5 | 14 |
出典:IRS, Standard mileage rates(2026年9月に確認)。2025年の業務用レートは1マイルあたり70セントでした。
二つのレートで2026年のマイレージ控除を計算するには?
2026年の上半期と下半期それぞれの業務走行マイル数に、その期間のレートを掛け、二つの結果を足します。1月から6月に5,000マイル、7月から12月に3,000マイルを業務で走った場合、控除額は3,625ドルと2,280ドルで、標準マイレージレートによる合計は5,905ドルです。
8,000マイル全体に一つのレートを当てはめると、どちらに転んでも誤った答えになります。72.5セントなら5,800ドルとなって控除額を105ドル少なく見積もり、76セントなら6,080ドルとなって175ドル多く見積もってしまいます。正しい振り分けを裏付けられるのは、すべての走行に日付のある記録だけです。
| 期間 | 業務走行マイル数 | 1マイルあたりのレート | 控除額 |
|---|---|---|---|
| 1月〜6月 | 5,000 | $0.725 | $3,625 |
| 7月〜12月 | 3,000 | $0.76 | $2,280 |
| 通年 | 8,000 | 日付で振り分け | $5,905 |
業務走行の控除を受けられるのは誰?標準レートはいつ選ぶ?
IRS Topic 510によれば、自営業者は車の経費をSchedule CまたはSchedule Fで控除します。会社員の多くは、払い戻しを受けていない走行分を控除できません。Topic 510は、Form 2106で車の経費を申告できる被用者として、予備役の軍人、要件を満たす舞台芸術家、手数料制で報酬を受ける政府職員を挙げています。
自分が所有する車に標準マイレージレートを使うには、その車を業務に使えるようになった最初の年に標準レートを選ぶ必要があります。翌年以降は、標準レートと実費方式を切り替えられます。リース車の場合は、リース期間全体を通じて標準レートを使わなければなりません。また、業務に五台以上の車を同時に使う場合、標準レートは認められません。
紙、表計算ソフト、アプリ:走行記録はどの形式がいい?
業務走行ごとに日付、目的地、目的、マイル数がそろっていれば、三つの形式はどれもIRSに認められます。実際の違いは、十二か月のあいだ走行のたびに記録を続けやすいかどうかと、合計を出して7月のレート変更で振り分けるのがどれだけ簡単か、という点です。
どの形式でも、自分で管理できる控えを残しておきましょう。アプリを使うなら、記録をCSVやPDFファイルとして書き出せるか確認してください。申告から三年後にIRSが提出を求めることもあるからです。
| 形式 | 長所 | 弱点 |
|---|---|---|
| 紙の記録帳、または印刷用PDFの走行記録 | 安く、どこでも使え、税務調査官にそのまま渡せる | 忘れやすく、合計に時間がかかり、なくすこともある |
| 表計算ソフト(ExcelやGoogleスプレッドシートのテンプレート) | 合計が自動で出て、日付の範囲で振り分けやすい | 結局は手入力で、数週間後にまとめて埋めがち |
| GPS走行記録アプリ | 走りながら日付、ルート、距離を記録する | 業務目的は自分で書き足す。書き出した控えは自分で管理する |
走行記録は何年保存すればいい?
Publication 463によれば、走行記録は、控除を申告した確定申告書を提出した日から少なくとも3年間保存します。期限前に提出した申告書は、期限日に提出したものとみなされます。車を減価償却する場合、Publication 463は償却期間の各年について業務使用の記録も求めており、こちらはさらに長くなることがあります。
毎年の記録の控えは、それを書いたスマートフォンやノートとは別の場所に、その年の初日と最終日の走行距離計の値と一緒に保管してください。車を持っているあいだはずっと走行記録を残しておく、という人も多くいます。
まとめ:IRSの要件を満たす走行記録
ここまでのルールを六つにまとめます。これは一般的な情報であり、税務上の助言ではありません。ご自身の状況については、税理士などの専門家に相談してください。
- すべての業務走行に必要なのは、 日付、目的地、業務目的、マイル数です。年全体では総走行マイル数が必要で、年初と年末の走行距離計の値で裏付けます。
- 形式は自由: 紙、表計算ソフト、アプリのどれでも認められます。IRSが確認するのは、記録の細かさと適時性です。
- その時点かその直後に記録する: 週ごとの記録は、IRS自身が挙げる適時の記録の例です。記憶から作り直した1年分の記録は、多くの税務調査で弱点になります。
- 通勤は業務走行ではない: 自宅から通常の勤務地までは、距離にかかわらず私用です。
- 2026年は業務用レートが二つ: 6月30日までは1マイルあたり72.5セント、7月1日からは76セントなので、どの記録にも日付が必要です。
- 記録は申告から3年間保存する。 車を減価償却するなら、さらに長く保存します。
iPhoneで、手書きせずにIRS向けの走行記録を付ける
WrenchTimeは税務ソフトではなく、何が控除できるかを判断することもありません。記録するのは、走行記録のもとになる事実そのものです。カーオーディオを一度Bluetoothでペアリングしておけば、走行ごとに日付、出発地と到着地の住所、距離、所要時間が自動で記録され、その距離は完全な変更履歴付きで車両の走行距離計に足されます。検出の仕組みは自動走行距離記録のガイドで説明しています。
走行に「業務」タグを付け、メモに顧客名や案件を書いておけば、業務目的は走ったその日に記録されます。申告の時期には、車両ごとのPDF書き出しが、各走行の出発と到着を日付と住所付きで、距離、タグ、メモ、合計とともに一覧にし、「業務」タグだけに絞り込むこともできます。走行の履歴は、設定、データとiCloudで短くしない限り、無期限に保存されます。
CSVとPDFの書き出しは無料版に含まれています。無料版では車両1台、週10回までの走行を記録でき、WrenchTime Proならこの制限がなくなります。実費方式に切り替える場合に走行記録と一緒に保管すべき領収書は、残しておくべき整備記録のガイドで紹介しています。
よくある質問
IRSが指定する走行記録の書式はある?
ありません。IRSは公式の走行記録の書式を公表していません。紙の記録帳、表計算ソフト、アプリのどれでも、業務走行ごとに日付、目的地、業務目的、マイル数が示され、年間の総走行マイル数を示せれば問題ありません。
走行記録を年末にまとめて作り直してもいい?
おすすめしません。IRS Publication 463は、走行の時点かその直後に作った記録は、後日に作成した申告書より価値があるとしています。何か月も後に記憶から作り直した記録は税務調査で否認されやすいので、走行は毎日、少なくとも毎週記録しましょう。
走行記録に走行距離計の値は必要?
業務走行マイル数だけでなく、年間の総走行マイル数を示せる必要があります。年の初日と最終日に走行距離計の値を書き留めておくのが、その合計をいちばん簡単に証明する方法です。各走行の距離を記録していれば、走行ごとの走行距離計の値は必須ではありません。
走行記録は何年保存すればいい?
IRS Publication 463によれば、控除を申告した確定申告書の提出日から少なくとも3年間です。車を減価償却する場合は、償却期間の各年について業務使用の記録を保存します。車を所有しているあいだはずっと保存する人も多くいます。
通勤の走行距離は業務として控除できる?
一般にはできません。自宅と主な、または通常の勤務地との往復は、距離にかかわらず私的な通勤です。勤務地から顧客、作業現場、仕入れ先への移動は、通常は業務走行マイルに含まれます。
2026年のIRSマイレージレートはいくら?
IRSの業務用レートは、2026年1月1日から6月30日までが1マイルあたり72.5セント、7月1日から年末までが1マイルあたり76セントです。すべてのマイルを正しいレートで申告できるよう、記録の各走行に日付を付けましょう。